歯のけが

 滑ったり、転んだりして硬いものに歯をぶつけると歯の一部が折れたり、グラグラしたり、歯が抜けてしまうことがあります。
 歯は歯肉(歯ぐき)から外に出ている歯冠と、歯肉の中にあって歯を支えている歯根とからできていますが、折れた場所や折れ方によって治療の方法が異なります。歯冠の一部分が破折したときは、欠けた部分をプラスチックなどで修復(元の形に戻す)します。折れ方がひどく歯の神経が露出してしまったり、それに近い場合には、神経の処置をしてから修復します。
 根の部分で折れた場合、折れた場所、方向が悪いと、歯を抜くことになりますが、治療によって残すことができる場合もあります。
 歯がグラグラするときには周りの歯に固定し、安静にすることによって元に戻ることが多いのですが、多くの場合神経は腐ってしまいます。そうなると歯が変色して茶色くなりますので、神経の治療をしなければなりません。歯の位置がずれてしまった場合には、うまく噛み合わすことができなくなってしまいますので、元の位置に戻して固定します。また、歯が抜けてしまったときには、元の場所に植え直します(再植)。この再植が成功する条件で大切なのは、抜けた歯の歯根膜(歯の根の周りに付いている繊維性の組織)を死滅させないことです。もしけがをして、歯が抜けてしまったら、泥などの汚れを水で軽く洗い流し、乾燥させないように口の中(唾液の中)や牛乳の中などに保存して、歯科医の治療を受けてください。
 小さい子供はよく転び、歯をぶつけることがあります。その際、歯肉から出血しますが、慌てず清潔なガーゼなどで傷口を押さえて出血を止め、歯の状態を観察して歯が動いていたり、抜けてしまったときにはすぐに歯科医の治療を受けてください。動きが小さくても念のため、歯科医の診断を受けたほうがよいでしょう。