親しらずについて

  親しらずは、智歯、第三大臼歯とも呼ばれ奥歯の中でも最後方にある歯のことです。
人類学的にいうと、この歯の退化傾向は著しく、第一大臼歯、第二大臼歯に比べて一般的に小さく、尖った形のものや細くなっているものもしばしばみられます。
歯のはえ方、位置、傾きなども人によりさまざまで、はえてくる時期も個人差が多く、全体が歯ぐきに埋もれているもの、半分しか出ていないものなどもあり、完全に欠如する場合もみられます。
親しらずは、上下左右で4本生える可能性がありますが、統計的には約70%の人に1本以上の欠如が、約30%の人に全部の欠如がみられるというデータもあります。
口の中にはえてくる年齢は18~24歳頃が多く、遅れて生えてくる場合もあり、人によって違いが大きくみられます。  
   近年は顎(あご)の発達が昔にくらべて悪く、歯がならぶスペースが狭くなったり、歯の大きさに比べて顎が小さくなってきているなどのことから、親しらずの入る場所が無くなり口の中に出てこない場合もあります。
   この歯は最後方にあるために、食べものの残りかすが停滞して不潔になりやすく、半分埋まっていたりすると、歯の周囲に深い歯肉ポケットが形成されて炎症が起きるいわゆる智歯周囲炎が起こりやすくなります。
上下の噛み合わせが悪くなったり、顎(あご)が偏位する原因、さらには顎関節症の原因となる場合もあります。また、親しらずが原因で歯ならびが悪くなったりもします。
  ただ悪いことばかりではなく、近年この歯を再生医療につかうことなどの研究も行われており、将来的には親しらずを有効に利用する方法が考えられています。
  親しらずの状態は人それぞれによって異なりますので、処置については、かかりつけ歯科医によく相談してください。