骨粗しょう症と歯科治療

一見関係性のない2つの事柄が、最近話題にのぼる機会が多くなっています。
骨粗しょう症とは、簡単にいえばカルシウムの不足が原因で起こる病気です。
高齢になるにつれて、体内のカルシウムの量が減少し、様々な身体的変化をもたらします。
この変化には大きく分けて、@易骨折性 A身長減少 B姿勢変化 などがあります。
特に注意が必要なのは@の骨折についてです。
高齢者の場合、転倒などにより簡単に骨折し、そこから寝たきりになるケースが非常に多くみられます。
一方歯科治療の場合、高齢になるにつれ歯周病が現れやすくなり、歯周病治療が必要な患者さんが増えてきます。
最近のアメリカの健康栄養調査では、カルシウムの摂取量が少ないと歯周病になりやりという報告がされています。骨粗しょう症やカルシウムの摂取不足が直接歯周病を引き起こすことはありませんが、歯周病を悪化させる因子であることはこのような数々の調査や研究で明らかになっています。
最近では骨粗しょう症の治療としては、ビタミン製剤、女性ホルモン製剤、ビスフォスフォネート製剤(以下BP系薬剤)の投与など、薬による治療が行われています。
この中でBP系薬剤は骨粗しょう症の治療薬の中でもっとも有効性が認められている薬のひとつで、このお薬は骨の減少を抑制することにより、骨密度を増やす作用があります。
しかし、最近、BP系薬剤の投与を受けている患者さんの内、3年以上投与されている患者さんが抜歯やインプラント治療などの外科的処置を行った場合、BP系薬剤関連の顎骨壊死・顎骨骨髄炎の発症がわずかですが確認されています。
骨粗しょう症は高齢者にとって治療が必要な疾患のひとつですが、治療の際は医科・歯科の先生方と相談することが大事でしょう。