高齢者のお口と健康について

  肺炎は、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患に次いで高齢者の死因の第4位を占め、近年増加傾向が認められます。中でも高齢者においては誤嚥性肺炎が多く認められ、その発症率は年齢とともに増加し致死率も高くなり、死亡者のうち90%が65歳以上の高齢者といわれています。
   誤嚥性肺炎は誤嚥によって口の中の細菌が気管や肺に入ってしまい、体力、抵抗力、免疫力の低下などにより細菌を駆除することができずに起こる細菌性の肺炎です。
治癒後も咳反射が低下するため、誤嚥のリスクが一層高まり、繰り返し発症する傾向にあります。喉の奥は肺に行く「気管」と胃につながる「食道」に分かれていますが、食べ物が咽頭(喉の奥)に進むと、気管の入り口が(喉頭蓋というフタによって)塞がり、その食べ物は食道に入ります。この飲み込むといった一瞬の流れを嚥下といい、誤嚥とは誤って気管にはいることをいいます。
加齢や脳の病気による影響で嚥下(飲み込み)機能の低下がある場合、誤嚥した際の咳やむせといった動作も鈍くなっているので気管への誤嚥をしやすくなります。
誤嚥性肺炎を予防するためには、原因となる口の中の細菌の増殖、誤嚥、免疫力の低下などの改善が必要です。
歯磨きや入れ歯の清掃 ・手入れなどを行ってない場合や不十分の場合、口の中の細菌が繁殖し続けます。口腔内をきれいにすることで細菌を減らし、誤嚥性肺炎のリスクを低減させることができます。
誤嚥を防ぐために、食事の際はとろみを付けたり、一口に食べる量を減らしたり、あるいは口の体操やマッサージを行い元気よく飲み込める口を作りましょう。
また、食事の量が減ると免疫力が低下する恐れがあるので、バランスと質の良い食事によって栄養改善をしましょう。たんぱく質をしっかりとること、食品数を増やすこと、一日3回、規則正しく食事すること、など心がけましょう。食事を改善したら、体全体の筋力が衰えないように散歩するなどの運動をしましょう。