歯周病と全身疾患

 歯周病とは、主に歯肉炎や歯周炎のことを言います。
 全身的な疾患が歯周病の発症や進行に深く関係することが最近わかってきました。特に歯周疾患を起こしやすい環境、例えば身体の病気に対する抵抗カの低下のために、健康なときには何も問題とならないような刺激でも反応して発病する場合があります。全身的な因子で歯周疾患に関係する主なものは以下の通りです。

1.栄養
 栄養失調、ビタミンC欠乏などが挙げられます。ビタミンCは極度に不足すると壊血病を引き起こします。口腔内が不潔な場合には、歯肉出血を特徴とする歯肉炎を引き起こすことがあります。

2.内分泌腺機能異常
 性ホルモンであるエストロゲンなどの分泌異常は、思春期、妊娠期に歯周炎を起こす確率が高いと言われます。思春期、妊娠期に性ホルモンの血中濃度が上昇すると歯肉出血、歯肉増殖が見られることがありますが、口腔内プラークの清掃が十分に行われていれば予防できると言われています。また、インスリン欠乏のために起きる糖尿病になると感染に対する抵抗カが低下し、歯周疾患にかかりやすくなることはよく知られています。

3.薬物による疾患
  抗てんかん薬や高血圧治療薬(特にカルシウム拮抗薬)、心疾患治療薬によっては、歯肉肥大が起こり薬物による歯肉炎にかかることが知られています。

  以上のように、全身疾患と歯周炎とは深い関係にあり、特に糖尿病を増悪させる因子となっているのではないかと考えられています。
 歯周病の予防には、やはり適切なプラークコントロールと定期的な健康診断が必要で、むし歯でなくても歯科医師による半年に一度の定期健診をおすすめいたします。