口腔のがんについて

 口の中にもがんができます。歯にはがんはできません。ですから、むし歯からは、がんはできません。ただし、歯を支えている歯ぐきにがんができることがあります。
 がんは昭和56年、今から20年以上前から脳卒中を抜いて日本人の死亡原因の第1位となり現在にいたっています。
 がんで死亡する人のうち、口の中のがんが原因で死亡する人は毎年約2〜3パーセントぐらいです。口の中でもっとも多くがんがみられる部位は舌で、およそ5割、続いて歯肉、頬粘膜、口底などにみられます。もっとも多い舌がんは特に舌縁(舌の側方部分)に多く、症状として多くは痛みを伴います。
 ただし、そのがんの見かけは「白い」、「赤い」、「くほんでいる」、「腫れている」などさまざまです。また、これらの様子がみられたとしても、単なる口内炎であったり、違う種類の粘膜の病気であることもあります。大切なことは、早期発見、早期治療 がんがみつかったら、もう最期と考えがちですが、それは大きな間違いです。現在は、いろいろな治療法が確立されて治ることも多くなっています。ただし、やはり早期発見、早期治療はがん治療の原則です。口のがんは胃がんと違って、カメラなどを入れなくても、実際、口の中を容易に見ることができます。おかしいなあ、と思ったら自分で見るか、家族に見てもらうことができます。もし、1週間たっても、治らない口内炎や白っぽいものができて、痛みを伴うことがあったら、むし歯の検診と―緒に歯医者さんで診療してもらうことをおすすめします。