歯石について〜8020をめざして〜

 プラーク(歯垢)が長い間、歯についたままになっているとプラークに唾液中のカルシウムなどが沈着して歯石を形成します。この歯石は、直接虫歯の原因にはなりませんが、歯周病の大きな原因のひとつとなるものです。
 歯石は歯肉より上につくものを歯肉縁上歯石、歯肉より下の歯の根っこ部分につくものを歯肉縁下歯石といいます。両者には色や硬さに違いがあります。
 歯肉縁上歯石は黄色または乳白色で、つきやすい場所として下の前歯のうら側と上の奥歯のほっぺた側です。(ここには唾液の出る唾液腺が開いているからです。)コーヒーやタバコの色素がつきやすく褐色に変色することもあります。また表面がザラザラしているのでその上にさらにプラークなどがつきやすくなるという悪循環を引き起こします。
 一方歯肉縁下歯石は歯肉から出る浸出液を由来とする成分とプラークが硬くなったもので血液成分を含むため黒褐色をしています。歯肉縁下歯石は縁上歯石より硬く、歯の根っこ部分に強く付着した歯石は歯肉を刺激し、歯肉の腫れや退縮(歯肉がやせて下がること)を招くこととなります。さらにほうっておくと、歯をささえている顎の骨も下がりはじめ、歯がぐらぐらしてきてついには抜けてしまうという歯周病(歯槽膿漏)の主な原因となります。そのため歯肉縁下歯石を取り除くことは歯周病予防のうえで非常に重要となるわけです。

 日本は世界一の長寿国ですが先進国のなかではお口の中の状況は悲惨なことになっています。80歳になっても自分の歯を20本残し、健やかな生活を過ごせるよう、食べたら歯を磨きプラークがつくことを防ぎ歯石をつけないための習慣づけをしましょう。歯石は自分ではとれません。健診もかねて定期的(理想的には6ヶ月に一回)に歯科医院にかかり、専門家(歯科医師、歯科衛生士)にとってもらいましょう。