歯の脱臼について

歯の脱臼とは
 外力によって、歯を骨(歯槽骨)に固定している組織(歯根膜)が断裂することを歯の脱臼と言います。脱臼には歯が骨から完全に離れて、抜け落ちてしまう(脱落)ような完全脱臼から、一部の歯根膜が断裂しただけの不完全脱臼までさまざまな脱臼の状況があります。

治療方法
 歯の割れや、骨折がないことをレントゲンで確認し、歯を元の位置に戻し(再植)、両隣の歯と接着剤でくっつけます(固定)。歯が歯槽骨から脱落している場合でも、歯根膜の乾燥やひどい汚れがなければ再植術の成功率は高いといわれています。また、歯の根っこ(歯根)が完成していない歯では、再植後に神経が生き返ることがあります。経過を観察し、生き返らない場合は神経の治療をします。

再植歯のその後
 脱落後十分以内に処置を行った場合、歯根膜が生着し、ほぼ本来の寿命で残る確率が高いと言われています。抜けた歯を再植するまでに乾燥状態で一時間以上放置すると、歯根膜が死んでしまいます。このような歯を再植した場合は、歯と歯槽骨が直接くっつき、歯根は根の先より次第に吸収が起こり、数年で歯の頭だけとなり、抜け落ちることが多いと言われています。

脱臼してしまった時の緊急処置
 今まで述べたように、再植がうまくいくためには歯根膜が生きていることが必要です。口の外に落ちてしまった場合には、すぐに拾い、軽く水洗(水道水なら三十秒以内)し、乾燥しないようにすることが大切です。最もよい方法は元の位置に戻してみることです。もし、抜けた歯を戻せない場合は、飲み込まないように唇と歯ぐきの間に入れて口の中に保存するか、すぐに牛乳が手に入るなら、牛乳の中に保存します。そして、できる限り早急に歯科医院を受診しましょう。